Why 投資は必要なの?
お笑い芸人、IT企業役員、3児の父と様々な顔を持ち毎日多忙な厚切りジェイソン氏。忙しい合間をぬって20年間投資を続け、しっかり利益を出しているという彼の投資メソッドとは。
複利のパワーを味方につけよう
――タレント、そして会社役員として活躍されている厚切りジェイソンさんですが、どうやって時間を捻出されているのでしょうか。
僕は物ごとを「やりたいこと」と「やらないといけないこと」の二つに大別して、常に優先順位を考えています。待ち時間や移動の時間も使いながら一つひとつ処理していますね。
――投資は「やりたいこと」ですか。
始めた頃はやりたいというより、やらないといけないという意識でした。アメリカではほとんどの会社で企業年金制度がないし、医療費も日本よりすごく高い。日本では老後の2000万円問題が騒がれていましたが、アメリカでは1億円ためないと老後が送れないですから。
――1億円が必要な状況で、どうやって資産形成するかということになりますね。
実際に始めてみると、たまることはたまるんです。とくに若いときから投資を始めると、複利の効果が出るから資産を増やしやすい。「72÷年利」という簡単な計算で元本が2倍になるまでのおおよその年数を割り出す「72の法則」というのがあります。これは複利が前提で、年利7.2%で資産運用した場合「72÷7.2=10」、つまり約10年で元本が倍になります(※)。早くから始めれば、それがずっと長く続けられる。
※単利の場合100÷7.2=約13.9年。
これからという人は「インデックス投資」から始めよう
――実際の投資では、どうやって銘柄を選んでいるのですか。
銘柄ではなく、市場全体の景気を表すS&P500や日経平均株価などの指標(インデックス)で投資信託をしていますね。インデックス投資の強みは、市場を大局的に見ればいいから投資の際にあまり悩まないで済むこと、それに投資先の会社が倒産しても大きな痛手にならないことです。
――このフォーラムにお越しいただいた方のなかには、まだ投資を始めていないという方もいらっしゃいますが。
あらっ、ホワ〜イ? 投資についてあまりよく知らない人、銘柄について調べる時間がないという人は、インデックスファンドから始めればハードルはそんなに高くないですよ。
あとは月1万円でもいいから、こつこつ続けて複利で増やす。市場は個人でコントロールできないですから、期間や金額の目標を決めるより、一生続けるつもりで毎月いくら投資するという行動の目標を設定した方がいいと思います。
投資はギャンブルじゃない! 長期の視点で継続を
――投資には長期的な視点が大事だということですね。
有名な投資家のウォーレン・バフェットが「パッシブ運用(指標と連動することを目指す運用)とアクティブ運用(指標を上回ることを目指す運用)のどちらかで10年間資産を運用するなら、私はパッシブ運用を選ぶ」と言ったら、ある人がアクティブ運用でバフェットに挑んだ。でも彼はバフェットに勝てなかったというエピソードがあります。
そもそも投資は、集まった資本を使ってビジネスを増やし、さらに大きな利益を生み出して利益の一部を配当として株主に還元する。そういう仕組みのはずです。株を買って、価格が上がらなければ翌日売るというのは投資ではなくギャンブルです。ビジネスが育つのには時間がかかるので、株は少なくとも数年は寝かせておく必要がありますよね。
――皆さんもこういった視点を持って、ぜひ投資に向けて一歩踏み出していただきたいですね。
今の時代はインターネットが発達して株も始めやすくなったし、リスクヘッジしやすい方法もあります。自分が困らない程度の額で続けていたら、いつの間にかすごく資産が増えているかもしれません。できる範囲からでいいので、ぜひ始めてみてください。